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羊たちの沈黙

主人公クラリスがレクター博士と初めて対面するシーン。
レクター博士はクラリスの使っている香水が
「レールデュタン」であることを言い当てます。

『 香水はレールデュタンだ。 でも今日はつけていない。 』

鉄格子を挟んでの距離がある状態で、
しかもその日はクラリスは香水をつけていなかったのに
日頃愛用している「レールデュタン」を嗅ぎとったレクター博士。

並みの嗅覚では難しいことですよね。
原作を読むとよくわかるのですが、
レクター博士は天才的な嗅覚の持ち主です。
パトリック・ジュースキントの小説『 香水 』の主人公、
グルヌイユを彷彿とさせる才能です。
(グルヌイユの方が遥かに超人的なのですが)

嗅覚は原始の感覚と言われていて
他の感覚とは違って大脳新皮質を通さずに自律神経に影響します。
つまり・・・脳で認識する前に神経に行っちゃうんです。
それだけに「香り」というものは私達の身体に深く関わっていて
それが並外れて優れているということは
考えてみたら人間にとって辛いものなのかもしれません。

グルヌイユもレクター博士も、天才的な嗅覚を持つが故に
それぞれ異なった背景を伴って歪んだ美意識を自己の内に創りあげ
凡人には決して理解できない殺人を
重ねる結果になってしまったのでしょうか。